2014-08-23


<プロフィール> 

写真右より

杉本恵太:
流通経済大学を卒業後、2005年に名古屋グランパスに入団。その後、徳島ヴォルテス、HOYO大分でプレーした後、2014年シーズンよりチェンライユナイテッドに所属。ポジションはフォワード。

 

村上一樹:
広島大学を卒業後、2010年にFC岐阜に入団。FC岐阜で2シーズンプレーした後、2013年シーズンよりチェンライユナイテッドに所属。ポジションはディフェンダー。

 

TK:
青年海外協力隊としてアフリカのザンビア共和国に滞在した後、アメリカでスポーツサイエンスの修士号を取得。日本に帰国後、アイスホッケーチームのフィジカルコーチを務め、2014年シーズンよりフィジカルコーチとしてチェンライユナイテッドに所属。

 

14年シーズンより日本人選手2人と日本人フィジカルコーチを獲得したタイプレミアリーグ チェンライユナイテッド。それぞれ違う経歴から辿り着いたチェンライで、日々ピッチ上でどう戦っているのか話を聞いた。

 

-ではTKさんからお話聞かせていただきます。

 

TKどうもTKです!

 

-えーと、最初に本名教えてもらっていいですか?(笑)

 

村上:そういえば昨日も岩政さん(BEC Tero)に対して「TKです」って自己紹介してたじゃないですか。俺はいいと思うんですけど、一応名前を名乗ったほうがいいんじゃないですか?初対面の人に自分のアダ名を言うってどうなんですか?(笑)まぁ俺らの中でTKはもうアダ名じゃないですけど。

 

TK:イヤ、俺はTKでいいと思う。TKで統一していく方針。では一応僕の本名知らない人の為に「ササダ タケシ」と言います。

 

-ではTKさん、今までの経歴を教えて下さい。

 

TK:日本の大学を卒業後、青年海外協力隊でアフリカのザンビア共和国に行きまして、そこで2年間、女子校で物理の先生をしてました。

 

杉本:ザンビアの話をすると止らなくなりますよ。注意してください。

 

TK: それからアメリカの大学院でスポーツサイエンスの修士号を取り日本に帰国。その後アイスホッケーチームのフィジカルコーチをやりました。そして14年シーズンからチェンライユナイテッドでフィジカルコーチやってます。知り合いの紹介で鈴木勇輝GM(鈴木氏の記事はこちら)と知り合って、勇輝さんに「どうお前、やる気あんの?」って誘われたのがきっかけです

 

-村上選手と杉本選手は?

 

村上:Jリーグのトライアウトを受けて、その時プレーを見てくれてた代理人からチェンライユナイテッドの話がありました。それがきっかけですね。

 

杉本:僕の場合は、チェンライユナイテッドが選手を欲しがっていると代理人を通じて聞いて、それでタイに来て、チョンブリーFCとの練習試合に出場しました。その試合で2-1で勝って、僕が2アシスト。その試合後、チェンライとの契約が決まりました。チームからは良い評価をしてもらったのと、家族も連れて来たいという自分の希望も聞いてくれたのが大きかったです。その前はHOYO大分に所属していて、一応サッカーだけしながらお金は貰えていたんですけど、それでも生活のやりくりは結構厳しくて、自分からチームに働かせてほしいと申し出て、チームスポンサーの旅行代理店の営業職として働きました。会社で働いたのはこの時が初めてです。最初は何をしていいか分からなかったので、資料整理や掃除なんかをやってたんですけど、後に社長について一緒に営業に回るようになりました。またこの時仕事をしようと思ったもう一つの理由は、自分以外のチームメイトは昼間は仕事していて、練習開始の夜にはみんな疲れて、「今から練習かぁ」といった重い雰囲気が漂っていて、それを変えくて、変えるには自分も昼間働こうと。それでも生活は厳しく、このまま続けても家族が露頭に迷うと思って、もし次プロで出来るチャンスがあれば国を問わず挑戦するつもりでした。そして行き着いたのがタイでした。




-タイでプレー(仕事)してみてどうですか?

 

TK: 住みやすい国ですね。ご飯もうまいし、物価も安い。ただ、働くとなるとまた違うのかと。働く= 努力や結果が求められるものだと思うんですけど、ここではサバイサバイ(タイ語で快適・心地いいの意味)の影響があるのか、それがプロとしてマイナスになっている部分もあります。けどその中で自分が何が出来るかを考えてやってますけど、チームの方針を決めるのはあくまでタイ人のマネジメントで、彼らが見ているものと、自分が見ているもの感じている事に若干違いがあって、難しいと感じることもあります。最初の3ヶ月は自分のスタンダートを押し通してやっていたけどチームのみんなから総スカンを食らってしまいました。今は試行錯誤を繰り返していて、妥協と言われれば妥協かもなんですけど、自分が来たことでチームのプラスになっているのか考えた中で、自分のスタンダードを押し通してチームにマイナスの影響を与えるなら、それを捨ててでもタイに合わせる作業が必要かなとは思ってます。出来てないことはたくさんあるけど、出来ることからやってる感じです。まずはコミュニケーションをとって、関係構築して、相手の話をよく聞く。今も毎日に試行錯誤です。

 

村上:自分が来た当初はプレースタイルや組織的な動き方などに違いがあり戸惑う部分は多々ありました。センターバックで出場することが多いんですけど、周りの選手とは最低限の約束事だけ決めて、あとは自由にやらせて、攻められたら自分が全部止めるつもりでやってました。チームメイトには色々要求するんですけど、「走れるのに走らない」選手がいるのも事実。そこでごちゃごちゃ言っても変わらない部分もあるので、そこは正直目をつぶって、あとは自分のプレーに集中することにしました。正直、昨年は自分は好き勝手やってましたね。あとDFは周りとの連携ミスが即失点につながるので、ラインの上げ下げでミスするが怖くてその辺は自分が周りに合わせてプレーしていました。その分自分にとって難しい局面は増えるけど、それは自分で何とかしようと思ってましたね。今年はチームが勝てるようになり、去年よりは周りとも良くコミュニケーションとってやってますね。そこの心境の変化は、実は去年のシーズン終了後、日本でやりたくて幾つかのチームのテストを受けたんですけど、結果ダメで。それでもGMの勇輝さんが「戻って来てくれ」って言ってくれたて、チームに拾ってもらったという感謝もあり、今年はチームの為にという気持ちが強いです。

 

-杉本選手は?

 

杉本:タイ人はボール回しさせたら上手いですよ。タイにもいい選手がいて、Jリーグでやれそうな選手もいます。でも戦術の部分はまだ甘いかなと。タイ人は日本人は相当走れると思ってるらしく、サイドバックが対応するはずの選手をサイドハーフの自分がマークしたり、そんなことが普通にあります。もっと効率よく攻めも守りも出来るはずとは思います。マークの受け渡しも人任せだったりで、その分無駄に走る距離が増えますね。自分は走るの嫌いじゃないのでいいんですけど、もっと効率よくプレーすることで、もっと攻撃にパワーを使えるんじゃないかと感じます。それでも最近は全員で守って全員で攻めることをチームで意識し始めて、調子も上がって5、6試合負けなしが続きました。来た当時に比べると良くなってきてます。あと、最近は途中交代で出ることが多いけど、試合中タイ人は座って待ってる時間が長いので、自分はいつでも出れるように前半の終わりから動き出して準備します。日本では当然やることですよね。けどそうやって自分が行動で示すことでタイ人の意識も変わりつつあります。昨日もBECTEROとの試合で岩政選手と対戦したんですけど、彼も試合中ずっと叫びならコーチングしている。本人も「いやになる」って言ってますけど、結果を見るとBECは上位です。日本人の役割が何なのか自然と見えてくるのかなと思ってます。

 

-チームメイトとのコンビネーションは?

 

杉本:ボールは全然出てこない。良いボールが出てくれば全然走るんですけど、ミスキックでもいいなら出してくれないかなと(笑)けど、最近は自分は外国人として来てるのでボールが出てこなければ自分で局面を打開していく必要があると思ってます。自分で仕掛けて結果を出すことが外国人として来ている自分に求められていることですね。



-外国人としてタイで仕事してて色々難しい面や日本との違いはありますか?

 

TK:基準が違うので、自分が当然やろうとする事、したい事が出来ない。自分がやりたいことをやるために、まずは信頼関係を作ることが大事かなと思ってます。

 

村上:日本では当たり前でやってたことが出来ない。去年は自分のプレーに集中してたけど、今年はチームを勝たせたいという思いが強いので、一試合一試合考えることは去年より多い。その分今年のほうが難しさは感じてますし、現状には全然満足してないです。今までやってきたことを踏まえてもっとチームに還元出来ないかと考えた時、自分のプレーや行動・言動はまだまだとは思ってます。ただこうやって海外に来てプレーすることで、自分の事だけじゃなくチームの事を日本にいた時以上に考えるようになりました。

 

杉本:僕は言葉ですね。英語もあまり喋れないので。タイ人とコミュニケーションとるにはタイ語なので必死で勉強して、まぁまぁ意思疎通は出来るようになってきました。来た当初はTKさんや勇輝さんに試合前のミーティングの通訳に入ってもらってました。しーんとしてるミーティング中, TKさんの通訳の声がめちゃめちゃデカくてイヤでしたけど。(笑)

 

村上: まぁ今年は日本人が4人いるので何とかなってる部分もありますよね。去年は日本人選手は僕一人だったので英語は勉強しましたね。あとタイのカワイイ子と話したかったので一時期マジでタイ語勉強しましたね(笑)

 

TK:その時はチャリ(村上選手の愛称)はマジでタイ語上達しましたよ(笑)

 

杉本: チャリはやっぱり頭いいんですよ。国立大ですし。頭いいんですぐ言葉覚えるんですよ。卑猥な言葉含めてね(笑)

 


-チェンライという街はどうですか?

 

村上:チェンライはいいとこですよ。住むには本当にいい環境です。

 

杉本:気候もバンコクとチェンライでは全然違いますよ。チェンライのほうが全然涼しい。あとサポーターもアツくてJリーグでいえばアルビレックスみたいです。

 

-ではタイでプレー(仕事する)ことのおもしろみって?

 

TK:選手がトレーニングを通じて変化を感じてくれてるとやりがいを感じます。「コンディションがいい」と選手から聞くとうれしい。まだまだそういうケースは少ないですけど、まぁちょっとずつ増えていけばいいかな。あとはチームが勝った時ですね。

 

杉本:最近喧嘩しなくなったもんね。

 

TK: 最初は選手に厳しく接していたんですけど、厳しく言うのはタイではダメなんだろうなと思って。喧嘩をしなくなったというか僕がアプローチの仕方を変えました。ザンビア共和国の女子高生に接するようなアプローチです(笑)チームとしてもフィジカルコーチを招聘したのが初めてだったのと、選手もフィジカルトレーニングをちゃんとやってきてないので、その中で自分がいきなり厳しく言ってもタイ人選手には受け入れませんでしたからね。

 

村上:僕はアフリカ人選手とマッチアップ出来るのが楽しいです。Jリーグにはアフリカンがあまりいなかったので、おもしろいというより新鮮でしたね。昔から黒人選手はリーチが普通と違うって聞いてたので、実際に対戦してみると確かに違うと感じる部分はありました。

 

杉本:櫛田君(チョンブリFC)下地君(BEC TERO)平野君(ブリラムユナイテッド→セレッソ大阪)とかJ1でプレーしてなかった選手だけどすごくうまくて、タイでも評価されている選手との対戦は楽しいです。日本人が違う国でプレーして活躍してくれてるのは嬉しいですし、やっぱり彼らがいたから自分たちもタイに来れたと思ってるので感謝してます。また彼らのお陰でタイ人も日本のサッカーをリスペクトしていると思いますね。

 

村上:僕も去年は今年ほど日本人が多くなかったから日本人対決は楽しみだったんですけど、今年はほぼ毎試合日本人対決だから正直「またいるのか」って思います。今までもセットプレーで相手チームの日本人のマークは自分がやってきたので、昨日のBECとの試合も、この流れだと岩政さんにマークするのは自分かなとか思ってました。結局つきませんでしたけど。明後日のバンコクグラス戦は茂庭選手にマーク付くかもなんで結構ビビってます(笑)

 

-ではみなさんの今後の目標は?

 

TK:チームのフィジカルを上げる、チームを強くする。それにつきます。それを達成するためにコツコツやっていくしかないかなと。自分のキャリアとしては、僕はあんまりビッグクラブでやりたいとかないんですけど、いいフィジカルコーチになりたいとは常に思ってます。理論だけでは良いコーチにはなれないので、いろいろ試行錯誤して経験して、結果に繋げていければと。そういう意味では今の環境には満足してます。いろいろ試して失敗してを繰り返せるので。

その先の将来のゴールは決まってます。ザンビア代表のフィジカルコーチになることです!

ザンビアでフィジカルコーチやりながら、副業でコーヒー農園を営みます!

 

村上杉本:結婚は?

 

TK:そうだね、まだちょっと見えてこないね~残念ながら。ただ僕は人種は関係ないですよ。18歳以上で女性あればOKです。

 

村上: そういえばチェンライのカフェにめっちゃカワイイ店員の女の子がいて、こないだTKさんと行った時に年齢聞いたら17歳だった。僕はいいと思ったんですけど、TKさんのなかでは18歳以上というルールがあるらしいので。

 

TK:俺のルールじゃなくて法律!法律!

 

-村上選手は?

 

村上:考えてることはいろいろあるんですけど、まずは今年しっかり勝てるようにプレーしたいです。将来のことははっきりとは決めてないけど、今はサッカーやらせてもらってるので、しっかりやりたいです。

 

杉本:僕はまたACLにまた出たい。チームにもACLを経験して欲しい。そのために自分のプレーをしっかり見せてチームを引っ張って行きたいです。そしてまたJリーグに戻りたい。今までサポーターに支えられてやってこれて、今でもFacebookを通じてメッセージが来たり、本当に支えられています。プレーできなくなっても将来はその人達に何か還元したいとの思いもあります。サポーターの為にもプレーしている限りは全力でやって結果を出していきたいですね。


鈴木GM(左端)を入れた全員での一枚。

<了>

Text & Photo: ASEAN FOOTBALL Link

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