2015-03-07

<プロフィール>
樋口 大輝 / Higuchi Daiki
THAI HONDA F.C. (タイ Division-1)


2007年、福岡が大学を卒業後、当時JFLのガイナーレ鳥取に加入。翌年、同じくJFLの佐川印刷SCへ移籍し2010年シーズンまでプレー。その後、鳥取時代の監督だったヴィタヤが監督を務めているタイ・プレミアリーグのチョンブリーFCに入団。2012年、タイ・プレミアリーグのソンクラーユナイテッドへ移籍。2014年Divison-2のタイ・ホンダFCに加入。14年シーズンは、チームのDivision-1昇格に大きく貢献。

Jリーグでのプレー経験はなく、タイでプロサッカー選手としてのデビューを果たした樋口大輝。チョンブリーFCでプロキャリアをスタートしてタイ・プレミアリーグ(1部リーグ)で計3シーズンを過ごしたあと、昨年はディビジョン2(3部リーグ)のタイ・ホンダFCでディビジョン1昇格に貢献した。タイで5度目となるシーズンを前に、話を聞いた。


 
-タイリーグ5シーズン目ですが、環境やレベルなどに変化を感じますか?

まずやっぱり、目に見えてわかるのは日本人選手が増えたことですよね。選手のレベルも上がってきていると思いますし、特に外国人選手のレベルが上がったのを感じます。もう一つは、外国人監督が増えたことで組織的なチームも増えてきて、チームとしてのレベルも上がっていると思います。
 
-もともと選手個々の能力は高いけれど戦術面で遅れている、という声をよく聞きますが、改善傾向にある?

そうですね。もちろんまだ足りない部分も多々あるとは思いますけど、たとえば去年のディビジョン2で言えば、丸山良明監督が率いたランシットFCは守備の面が組織的でやりにくかったです。いるべきところに人がいて、ボールを持っている相手にプレッシャーをかけられるという印象でした。
 
-日本人監督のチームに特に違いを感じますか?

日本人以外の外国人監督は、どちらかというと攻撃にフォーカスしているチームが多いかもしれませんね。日本人監督はまず守備から、という印象があります。
 
-昨シーズンから所属するタイ・ホンダFCも日本人の滝雅美監督が率いています。タイ人監督との違いをどんなところに感じますか。

まず練習時間が短いです。タイ人の監督は基本的に2時間以上練習をしますけど、滝監督は1時間半から長くても2時間くらい。日本ではそれくらいが普通なので。
 
-その点は、シーズンを通した時にコンディションに差が出るんでしょうか。

時間は長くやっていても強度的には意外と足りていなかったりして、シーズン後半に疲れが出てきたり失速したりというのはあるんじゃないかと思います。滝監督の場合は練習時間が短いだけでなくて、試合に向けた一週間のコンディション作りが考えられていて、練習の量や強度をコントロールしてくれるので。タイ人監督の場合はそうこうことはあまりないので、自分でコントロールしなければいけない部分がありました。
 
-練習内容なども全然違いますか?

滝監督は特別なことはしないんですが、本当に基本的な部分を徹底する感じです。たとえば去年からずっと言われているのが、ボールを受ける人のポジション。日本では子供の頃に教わることでもタイでは教えられていない部分があるので、タイのチームに欠けているところを徹底してやっているんだと思います。僕が感じているだけかもしれないですけど、メンバーは去年からそんなに変わっていないので、変化は出てきていると思います。
 
-昨シーズン、TPLのソンクラー・ユナイテッドからディビジョン2のタイ・ホンダFCへ移籍したわけですが、どういう経緯だったのですか。

一昨年の12月、ソンクラーとの契約が満了してチームを探している時に、たまたま滝さんの存在を知って。ちょっとボールを使って練習したいな、と思っていた時だったので、タイ・ホンダで一緒に練習させてもらえませんかとお願いしたんです。契約することになるとは全く考えていなかったんですけど、トレーニングマッチとかにも出させてもらって。そうしたら、年明けに「右サイドバックがいないから、ちょっと考えてくれないか」という話をいただいたんです。誘ってくれた滝監督、チームには本当に感謝しかありません。
 
TPLでプレーしていたところからディビジョン2というのは、抵抗はありませんでしたか。

まさか自分がディビジョン2でプレーするとは思っていなかったので、最初はちょっとありました。ただ、昇格という明確な目標があって、チーム一丸となってそこに向かえるチームはなかなかないので。そこに魅力を感じて、覚悟を決めてタイ・ホンダを昇格させようと。
 
-待遇面もネックにはなりませんでしたか。

そこが落ちなかったので、それも一つの要因ではありました。日本人監督でコミュニケーションも取りやすいですし、あとはやっぱり必要としてくれる場所に行くのは選手として幸せなことなので。
 
-実際、ディビジョン2で一シーズンを送ってみての感想は?

ギャップもありましたし、思ったより簡単ではなかったです。レベル的なものは別として、環境だったり、レフリーに関しても正直「ひどい」と感じたことも多かったです。
 
-簡単ではない、というのはディビジョン2ならではの難しさみたいなものがあるんですか?

まず、自分の気持ち、モチベーションを保つのが難しいんです。ディビジョン2のスタジアムに行くとお客さんはいないし、ピッチもいい芝ではない。正直、「ここでやるのか…」と感じる場所もあって、奮い立たせるのが大変でした。ひどいところはほんと、草サッカーのグラウンドよりひどいところもあるので。TPLであればお客さんがたくさんいるし勝手にモチベーションが上がるんですけど、ディビジョン2の場合はスタジアムに入った瞬間、まず自分でスイッチを入れないといけないんです。
 
-なるほど、それはTPLを経験している選手ならではの難しさかもしれませんね。チャンピオンズリーグ(ディビジョン1昇格をかけた全国決勝リーグ)になると、盛り上がりもすごいですよね?

そうですね、チャンピオンズリーグは別物でした。ほとんどの試合が満員でしたし、地方は本当に熱いですね。チャンピオンズリーグに行ったらそこそこ力を入れているチームがほとんどなので気持ちは高まりますが、バンコク地区のリーグ戦は力の差もあったので。
 
11対0という大差の試合などもありましたよね。

はい。レベルももちろん低かったですが、レベル云々じゃなく、相手のやる気がなくなった感じであれはひどかったですね。そういうチームも少なくなくて、まともな試合ができるのはバンコク地区では3、4チームという印象でした。
 


 

-最終戦のロスタイムのゴールで昇格が決まるという劇的な幕切れでしたが、あの時はどんな気持ちでしたか。

あの日のために一年があったようなものなので、最後のスコータイ戦は忘れられないですね。どんな気持ちかというのは表現が難しいですが、まずは「信じられない」というのが正直な気持ちでした。入らなければ昇格できなかったあの状況で、あのゴールが生まれたわけなので。正直、ちょっと諦めかけていましたから。
 
-結果、今季はディビジョン1を戦うことになるので、これでタイリーグの全カテゴリを経験することになりますね。

そうですね、珍しいケースかもしれないですね。
 
-ここまで長くタイでプレーすると思っていましたか。

想像してなかったですね。ありがたいことに毎回、チームから引っ張ってもらったり一緒にやろうと言ってくれる監督がいたり、そういう運もあると思います。サッカーだけじゃなくて人間としての経験値としても、タイに来てよかったと思っています。
 
-この先のサッカー人生のビジョンはどんなふうに描いていますか。

あと何年プレーするかわからないですが、サッカー選手を終えたあともしばらく海外に残って世界で働く能力を身につけたいと思っています。サッカーの指導者としてもそうだし、語学力も。英語はやっぱり大事だと思うのでビジネスレベルにもっていきたいですし、指導者の資格も取って。今考えているのは、2020年の東京オリンピックのタイミングで日本に戻ろうと思っているんです。スタートはサッカースクールやアカデミーになると思いますが、大きな目標で言えば最終的には地元にサッカーチームを作りたい。そこにたどり着くための、海外は準備期間だと思っています。
 
-去年、インタビューで「あと2年で引退する」というようなことを語っているのを見ましたが、そのくらいの気持ちで、という意味ですか?

そうです。性格的に追い込まれないとできないタイプなので、そういうふうに自分で終わりを決めて。それによってけっこういい影響があったというか、自分が今やらなければいけないこともいろいろ見えてきましたし、選手としても一日の練習とか一つの試合を大事にしなければいけないと思うようになったので。今年はとにかく、「終りは近いぞ」という気持ちでやろうと思っています。
 
-そんな今季は、どんなシーズンにしたいですか。

このままTPLまで行きたいですね。たぶんタイ・ホンダだけじゃなく全チームに可能性はると思いますし、もちろんタイ・ホンダも十分に狙えると思います。5位とか3位とかを狙っても優勝できないと思うので、やっぱり優勝を狙って一年戦っていきたいです。

 

<了>

Text & Photo: 本多 辰成 
 

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