2015-04-06

<プロフィール>
此村 大毅 / Konomura Daiki
Kasem Bundit University FC (タイ Division-2)

2013年に単身タイへ渡りDivision-2のセム・バンディット・ユニバーシティーとの契約を果たす。その後、THAI HONDAへ移籍。2014年1stシーズンはカセム・バンディットへ復帰し、同年2ndシーズンはSamut Sakhon FCでプレー。3シーズン目となる2015年は再度、カセム・バンディットに復帰。

大学時代のタイ旅行をきっかけにタイリーグでプレーすることになり、今季で3シーズン目を迎える此村大毅。ディビジョン2(3部リーグ)ながら所属したクラブで結果を残し続け、今季は開幕から4試合連続得点で5ゴールをマークする活躍ぶりで上位リーグも注目し始めているという。異色の経歴を持つライジングスター候補に話を聞いた。
 
-今季で3シーズン目となりますが、もともとはタイリーグに挑戦しに来たわけではなかったそうですね?

最初は3年半くらい前、大学4年の夏に来ました。一応サッカーをする用意はしてきたんですが、その時はただの旅行でしたね。
 
-サッカーをする用意をしていたということは、タイでプレーしたい気持ちもあったということですか?

テレビでタイサッカーの特集を見てタイのサッカー事情は少し知っていましたが、その時は自分がプレーするとは全く考えていませんでした。サッカーの用意をしてきたのは、ストリートサッカーをしてみたかったからです。見ず知らずの人とボールを蹴るというのは、日本ではなかなかできないことなので。
 
-それまでは、大学のサッカー部でプレーを?

サッカー部は大学1年で辞めたんです。1年生の時からトップチームに入れてもらって試合にも出ていたんですが、包丁を足に落として親指の靱帯を切る怪我をしてしまったんです。それで2、3カ月離脱したのをきっかけにBチームになり、自分のプレーができない苛立ちもあって、サッカーから離れて行ってしまいました。今思えば、僕が未熟でしたね。
 
-その後、サッカーはしていなかったんですか?

一年間は全くプレーしませんでした。サッカーをしたいという気持ちはどこかにあっても、「辞めたんだから、もうやらなくていい」という感じで、遊びでもサッカーをすることは控えていた感じです。でも、やっぱりサッカーをやりたいという気持ちが強くなってしまって、大学3年の時に埼玉県2部の社会人チームに入れてもらったんです。そこで出会った方たちからもいい刺激を受けて、サッカーに対する印象も変わった面がありました。
 
-その思いがタイにもつながっているのですね。タイでプレーすることは考えていなかったということですが、どういう経緯で入団が決まったのですか?

一緒にストリートサッカーをしていたタイ人が僕のプレーを評価してくれて、「カズダンス」という日本人のサッカースクールを紹介してくれたんです。そこで、当時タイのフットサルリーグでプレーしていた日本人選手と知り合いになって、その方がタイのプロサッカー選手を紹介してくれて。そのつながりで、ディビジョン2の2チームくらいでトライアウトを受けることになったんです。
 
-そこでチームがすんなりと決まりましたか?

その時はBCCというチームから「今年は獲れないけど、来年来てくれたら必ず獲る」と言われて、獲ってもらえるものだと思って日本へ帰ったんです。でも、大学の卒業論文を書いている頃にチームから連絡が来て「チームが新しくなるから、やっぱり獲れない」と。就職活動もしていませんでしたし何もない状況だったので、挑戦するしかないでしょ、ということで12月にもう一回タイに来たんです。
 
-そこで、最初のチームとなるカセム・バンディット・ユニバーシティー(以下、カセム・バンディット)入りが決まったのですね?

最初は外国人ばかり数百人が集まるトライアウトを受けて、当時ディビジョン2だったチェンマイFCから声をかけてもらったんですが、契約には至らなくて。そんな時に、急にカセム・バンディットの監督から電話がかかってきて、「今、タイにいるのか? いるなら、明日から練習に来い」と。カセム・バンディットには最初の時にも練習参加していたんですが、特に反応はなかったんです。たまたま、タイミングがよかったんだと思います。
 
-タイでプロとしての生活を始めたわけですが、スタートは順調でしたか?
 
他の選手の話を聞くとチャンスをもらえない選手もたくさんいるようですけど、僕は最初から試合に出してもらってゴールも決めることができていました。左サイドのアタッカーをやっていたんですが、どんどんスペースに飛び出していってシュートで終わるという、僕にとってはやりやすいサッカーだったのもよかったのかなと。

-1年目の後期は、当時ディビジョン2だったタイ・ホンダFC(以下、タイ・ホンダ)へ移籍しています。これは前期の活躍が認められた形ですよね?

前期の途中からタイ・ホンダが興味を持ってくれているというのは聞いていたんです。ちょうど最終節にタイ・ホンダ戦があって、その試合で活躍したことでオファーをいただきました。
 
-待遇面もかなり変わりましたか?
 
サラリーも倍以上になりましたし、待遇面も全て変わりましたね。
 
-その後も、半シーズンごとに移籍を繰り返してきていますが。
 
タイ・ホンダでも試合には出させてもらって得点も3点くらい挙げることができたんですが、腰を痛めてしまったのと、チームの体制が変わるタイミングでもあったので、最終的には戦力外という形でした。それで去年の前期はまた、カセム・バンディットでプレーすることになったんです。前期で活躍して後期はまたステップアップしたいということで、代理人とも話し合って半年契約にしてもらって。
 
-そこから、2年目の後期はサムットサコーンというクラブに移籍していますね。
 
サムットサコーンの監督さんはもともと僕を評価してくれていて、「一緒にプレーしたいから、うちのチームでやってくれ」ということはずっと言ってくださっていて。前期のカセム・バンディットでも5ゴールすることができて、実際にオファーをいただきました。
 
-どのチームでもすぐに結果を出して、対戦チームの監督にも高く評価されているという印象を受けます。
 
ありがたいですね。去年もランシットFCと対戦した時に、監督をされていた丸山(良明)さんが試合後すぐに来てくださって、「後期チームが決まっていないなら一緒にやらないか」と言ってくれたんです。Jリーグでも実績のある方に評価していただけたのは、本当に自信になりました。
 
-海外のクラブで、外国人としてすぐにチームに適応できるのは何かコツのようなものがあるんですか?
 
あまり口に出しては言わないんですけど、すごく負けず嫌いなんです。なので、どうすれば試合に出られるんだろうとか、監督とコミュニケーションを取るためにタイ語を覚えようとか、自分なりにいろいろ考えてはやっています。特に今シーズンはいろいろと勉強してコンディション管理にも気を使うようになったことで、やっと自分の体がわかってきたという感じがします。
 
-今季は開幕から4試合連続得点の5ゴールと絶好調ですが、その成果ですか?
 
そうですね、今年ははっきりとコンディションが違うので。自分の体がわかってきて、コンディションの上げ方や試合への入り方がうまくできるようになったと思います。それから、今季は3度目のカセム・バンディットでのプレーですが、本当に自分のことを評価してくれているのを感じますし、こんなに自分のことを愛してくれるチームもなかなかないんじゃないかと。今までは「ステップアップしてやる」ということしか考えていなかったのが、今回は「このチームのために」という気持ちがあるので、それも結果につながっているのかもしれません。
 
-今季の活躍で、上位リーグのクラブも興味を示しているという声も聞こえてきます。
 
ありがたいです。ディビジョン2でも得点を重ねれば注目されると思っているので、今季は20点以上は獲りたいです。今年で25歳ですが、サッカー選手のピークと言われる27、28歳くらいの時にどのくらいの選手になっていられるのか、どんどんチャレンジしたいと思っています。

<了>

Text & Photo: 本多 辰成 




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