2015-04-10

<プロフィール>
馬場 悠企 / Bamba Yuki
BB-CU FC(タイ Division-1)

 

京都産業大学を卒業後、JFLのSAGAWA SHIGAに入団し3シーズンプレー。2012年にタイDivision-1のスパンブリーFCに加入。中盤の要として活躍し、プレミアリーグへ昇格。13年シーズンは同じくDivision-1のバンコクFCでプレー。14年はタイプレミアリーグの名門チョンブリーFCに移籍。15年シーズンはDivision-1のBB-CU FCでプレー。

 

タイリーグで高い評価を受けてきた日本人選手の一人である馬場悠企。昨季所属したチョンブリーFCではチームが優勝争いを演じる中、シーズンを通してのスタメン出場は叶わず、個人としては不本意なシーズンでもあった。タイリーグ4年目を迎えた今季、新しいチームでリスタートした馬場に、昨季の戦いと今季への意気込みを聞いた。
 
-タイリーグでのプレーも、今季で4シーズン目になりますね。
 
出だしのイメージでは、こんなに長くいるとは思わなかったですけどね。でも、やっぱりタイはすごく住みやすいです。日本人が住む場所としてここまで環境が整っているのは、海外では珍しいですよね。
 
-今季はまた新たなチームでのスタートとなりましたが、どういった形での移籍だったのですか?

チョンブリー(チョンブリーFC)とは2年契約を結んでいたのであと1年残っていたんですが、自分自身は去年あまりいいシーズンを送れなかったので、チーム的には構想外ということで。他のチームで話があれば移籍は認めてくれるということで、チームを探していたんです。他の選手もそうだったと思いますが今季はチームが決まりにくくて、移籍期限ギリギリになってBB-CU(BB-CU FC)が具体的な話をくれて。しっかりと話を聞いて、必要とされているなら、ということで移籍を決めました。
 
-昨季は馬場選手にとっては初のタイ・プレミアリーグ(1部リーグ。以下、TPL)での戦いでしたが、個人としてはやはり苦しいシーズンでしたか?

もちろん悔しい思いをしたというのは第一に来るんですけど、その反面、貴重な経験をしたのかなというのもあります。試合に出られない状況というのはタイに来てからは初めてのことでしたし、外国人として来ていて試合に出られなかったどうなるんだろう、という焦りもありました。そんな中で、「どうしたらいいのか」といろいろと考えることができたのは大きな収穫だったかなと思います。
 
-考えた結果、どんな答えが出たんでしょう?

試合に出られなかったら誰でも焦ると思うんですけど、そこで「絶対にアピールしなければいけない」という思いが強すぎると、自分じゃなくなってしまうと思うんです。実際、それで自分のプレーができなくなることもありました。なので、割り切るというか、いつも通りの自分で行こうと。それをずっと思いながらやっていました。それがよかったのか悪かったのかはわからないですけど、自分としては「自分を貫いた」という感じですかね。
 
-昨季の最終盤には、櫛田一斗選手の怪我もあって優勝を争う大事なところで出番が回ってきましたよね。

「持ってるなあ」と思ったんですが、結果、タイトルを二つとも逃してしまったので持ってなかったですね(笑)。ただ、一年を通してずっとタイトル争いをしていたのはモチベーションにもなりましたし、チョンブリーに行ったからこそ経験できたことなので。それは貴重なことだったと思います。
 
-そんなチョンブリーでの貴重な一年を経て、今季はディビジョン1での戦いです。開幕からチームはいいスタートを切ったように見えますが。 ※注:取材時点で3勝1敗1分の4位

結果は出ていますが、正直、まだチームとしての手ごたえは感じていません。むしろ、結果が出ているからといってこのまま行ってしまうと厳しいんじゃないかと思っています。
 
-今季からチームの監督は日本人の高野剛監督ですが、監督のやりたいことがまだタイの選手たちに十分に浸透していないという感じですか?

監督の持っているビジョンを伝える時に、日本では当たり前でもタイ人の選手は身についていないところなどもあるので、多少苦労されているところはあるんじゃないかとは思います。たとえばプレスのかけ方などでも、タイ人選手は今まで言われたことのないようなこともあると思うので、まだ戸惑っている部分もあるのかなと。
 


-昨季のチョンブリーでも監督は日本人の和田昌裕監督(現・京都サンガFC.監督)でしたが、同じような状況がありましたか?

チョンブリーではあまり感じませんでしたね。今思うと、やっぱりチョンブリーの選手たちは本当にうまかったんだなと感じます。ボールを止める、蹴る、という技術の高さがあるので、ボールを持っても落ち着いて回すことができていましたから。理解する力も高かったんだと思います。
 
-同じタイのクラブでも、やはりチョンブリーのようなTPL上位のクラブとD1のクラブでは指揮する難しさも違うのかもしれませんね。

もちろんチョンブリーはチョンブリーでも難しいところがあると思いますけど、選手の能力に差があるのは事実なので、また違う難しさはあるんじゃないかとは思います。
 
-昨季のチョンブリーは後半戦に入ってから無敗が続いて右肩上がりでしたが、徐々に和田監督のサッカーが浸透していった実感がありましたか?

去年のチョンブリーは本当に一年通してみんな集中できていたんです。練習から集中していて、あれはすごいなと思いましたね。今までの経験からすると、どこかで集中が切れる時期があるだろうと思っていたんですけど、チョンブリーは最後までしっかり集中していました。それが後半戦に入って結果が出た理由でもあるんじゃないかと思います。
 
-それは、和田監督のやり方にも何か要因があったんでしょうか?

とにかく選手から信頼されているのは感じました。たまに練習で厳しいことを言っても、選手たちは不貞腐れることなく引き締めてやっていましたから。好男さん(昨季までチョンブリーGKコーチの加藤好男氏)もそうですけど、今でもチョンブリーの選手たちは「戻ってきてほしい」と言っているみたいですからね。チームを去った人に対してそこまで言うというのは、なかなかないことですよね。
 
-それは、すごいですね。そこまでの関係を築けた理由はどこにあるんでしょうね。

和田さんはすごく親しみやすいというか、変な言い方かもしれないですが、自分の父親に話しかけるような感じで話すことができるんです。それはタイ人選手も他の外国人選手も感じていたんじゃないかと思います。そういうところがタイにフィットしたというのもあるかもしれません。
 
-和田さんになってチームの規律面も改善されたようですが、そういった面は今季のBB-CUではどうですか?

時間の面なんかは、このチームに関しては全く問題ないですね。練習時間の1時間半くらい前に着いても、必ず誰か来ているくらいですから。高野監督も言っているとは思いますが、もともとしっかりしていたんだと思います。
 
-タイの選手たちも少しずつプロ意識のようなものが高まってきているんでしょうか。

今、タイ代表の選手たちがすごく人気があって、メディアでも取り上げられるようになっていますよね。それによって、自分も頑張って代表に入りたいとか、そういう思いが少しずつ出てきているんじゃないかというのは感じますね。
 
-なるほど、それはいい傾向ですね。タイリーグで3年間プレーした実感として、タイサッカーはこれから強くなっていけると思いますか?

絶対、どんどん伸びていくと思いますよ。タイリーグも今、お金をかけられるクラブがこれだけ増えてきていますし。ただ、審判の問題とかオーナー関係の問題とかいろいろあるので、そういうところが変わらないとどこかで成長は止まってしまうんじゃないかとは思います。日本に勝とうというところまで考えるなら、このままでは厳しいんじゃないですかね。でも今ちょっと、日本代表との試合を見てみたいですよね。以前のような大勝はされないんじゃないかとも思います。
 
-ワールドカップ予選での対戦の可能性もありますから、楽しみですね。最後に、今季はどんなシーズンにしたいですか?

去年はあまり試合に出ることができなかったので、怪我なく試合に出る。そして、チームとしては昇格です。

 

<了>

Text & Photo: 本多 辰成, BB-CU FC

 

<関連記事>

和田 昌裕/Chonburi F.C.: 2014年シーズンよりタイプレミアリーグチョンブリーFCの監督に就任。2014年タイプレミアリーグ最優秀監督賞受賞。 

 

櫛田 一斗/Chonburi F.C.: チョンブリーF.C不動のボランチとして活躍する櫛田一斗。Jリーグの経験もなく挑んだタイでリーグベストMFを受賞するなど順調にプロとしてのキャリアを重ねる櫛田。そんな彼も現在は更なる上を目指して日々挑戦を続けている。




関連記事