2015-07-19

<プロフィール>
友廣 壮希 / Tomohiro Masaki
Cambodian Tiger Football Club(カンボジア)

駒沢大学を卒業後、2014年にプノンペンF.C.(カンボジアンタイガーFCの前身)に加入。今年はカンボジアンタイガーFCとしてカンボジアでの2シーズン目を迎える。

関東大学リーグ1部の駒澤大学を卒業後、昨シーズンからカンボジアリーグでプレーする友廣壮希。今シーズンは新規参入の日系クラブ、カンボジアンタイガーFCで主にボランチとして攻守にチームを引っ張る。大学を卒業後、すぐにカンボジアでプレーすることになったのにはどんな経緯があったのか。カンボジアリーグでの2シーズン目の開幕を前に話を聞いた。
 

-大学を卒業してすぐにカンボジアリーグでプレーしていますが、どういう経緯だったのですか?

大学を卒業する前に、最初はタイリーグのトライアウトを受けにタイへ行ったんです。でも、1ヶ月やってもチームが決まらず、2ヶ月目には入る時にカンボジアにいる知り合いから、カンボジアにちょうど僕のポジションを探しているチームがあるということを聞きました。それで、3日間だけカンボジアに来たんですが、そこでオファーをもらったのでカンボジアでプレーすることになりました。
 
-大学卒業後に、タイでプレーしようとしたのはなぜですか?

Jリーグの上のレベルでできないんだったら、海外でやったほうが人間的にも成長できると思いましたし、楽しいんじゃないかと。まずは近いところで考えて、東南アジアでどこがいいかということを調べてみたんです。それで、タイリーグが盛り上がっているということがわかって、タイでプレーしてみたいと思いました。
 
-結果的にはカンボジアリーグとなったわけですが、その点で迷いはありませんでしたか?

ちょっとありましたね。カンボジアリーグに関しては調べていなかったですし、カンボジアのサッカーのイメージもなかったので。正直、カンボジアといえば「地雷」や「貧困」といったイメージしかありませんでしたから。でも、実際に来てみたら練習場は人工芝のグラウンドで環境は悪くありませんでしたし、プノンペンの町の印象も悪くなかったので、ここを最初のステップとして頑張ろうと思いました。
 
-カンボジアリーグでは昨シーズン一気に日本人選手が増えましたが、その時点ではまだ日本人は少ない状況でしたよね?

そうですね、その時点では3、4人だったんじゃないかと思います。サッカーができるなら頑張ろう、という感じだったので日本人選手がいるかいないかというのは特に気にはしていませんでしたけど。同時期に日本人選手がたくさんいろんなチームに入ったので、入ってから「こんなに日本人選手がいるのか」と知った感じです。
 
-カンボジアのサッカーについては、どんな印象を持ちましたか?

タイに行ってからカンボジアに来たので、足元の技術とかサッカーの理解度とかはタイとはかなり差があるなとは感じました。でも、そういうレベルだろうとは思っていたので、それほど驚きはなかったです。
 
-タイでは、どのカテゴリーのクラブでトライアウトを受けたのですか?

TPL(1部)からディビジョン2(3部)まで、順番にいくつか受けました。TPLのチームも2つくらい受けましたけど、やっぱり「上手いなあ」と感じる選手も多かったです。そこと比べると、カンボジアのレベルは全然違いますね。
 
-カンボジアリーグのレベルは、タイリーグのディビジョン2くらいでしょうか。

ディビジョン2の下のほうかな、という感じがします。
 
-母校の駒澤大と比べても、質は落ちる面があるのではないですか?

そうですね。正直、関東や関西の大学リーグ1部のチームとやったら、たぶん勝てないと思います。日本で言ったら高校の全国大会レベルくらいのような気がしています。
 
-レベル的に落ちることについては、抵抗はありませんでしたか?

これから上のリーグやカテゴリーでやりたいという気持ちがあるので、カンボジアだと優勝できる可能性があるのが魅力でした。優勝すればアジアの大会に出られるので、他国のチームに見てもらえる機会も多いんじゃないかと。その点で、たとえばタイのディビジョン2でやるよりもいいんじゃないか、という魅力を感じました。去年のチームは優勝できる可能性もあったので。
 
-レベル以外の点で、日本のチームとの違いなどは感じましたか?

このチームは日系のクラブなので、規律の面などはそれほど違和感はありませんでした。日本人選手もいますし、最初から監督も日本人でしたから。逆にそこは、タイでトライアウトを受けていた時には練習時間になっても全然集まらないチームもありましたし、「さすが東南アジアのチームだなあ」と思いました(笑)。カンボジアでもやっぱり他のチームの話を聞くとそういうところもあるようですけど、うちのチームに関しては真面目な選手が多いですね。
 
-カンボジアの選手の性格や気質などはどうでしょう?

日本ではダメなプレーはダメと言及するし、練習も100%でぶつかるのが当たり前ですが、カンボジアでは「みんな友達でしょ?」みたいな感じで言い合うことはしませんし、「練習なんだから、そんなに激しくするのはやめて」みたいな感じなんです。それに対しては最初、すごくフラストレーションがたまりました。それでは試合でできるわけがないですから。こっちからしたら向こうがおかしい、向こうからしたらこっちがおかしい、という感じでした。
 
でも、カンボジア人の気質や性格を理解しようとして、段々理解できるようにはなりました。簡単に言うと、精神年齢があまり高くないというか。だから、怒られたらふてくされるし、変にプライドが高いところもあります。仲間意識も強いので、「外国人は外国人」という目で見ているところもある程度あると思いますし、強く言われるとそれに対してグループで反抗心が生まれてしまうんです。
 
だから、できるだけ褒めながら「よかったけど、こうしたほうがもっといい」というふうにうまくコミュニケーションをとるようにしています。あとは、カンボジア人にはカンボジアの言葉で言うことも大事だと思うので、くだらないことから言葉も覚えるようにしました。そんな感じで工夫しないとチームも勝てないし、自分にもプラスにならないということが一年やってやっとわかってきました。
 
-そういうふうに工夫して言えば伝わりますか?

言い続ければ、わかってくれていると思います。チームが始動してから格段によくなっているのは感じているので、丁寧に教えてあげればできるようになると思います。
 
-今季はチームの体制が変わって、新たにカンボジアンタイガーFCとしてスタートしています。監督も木原正和選手が兼任する形に変わりましたが、チームに変化はありますか?

サッカーのスタイルも去年とはだいぶ違いますし、それをカンボジアの選手も自分たちなりに理解しようとしていると思います。新しいサッカーを教えてもらって、自分たちが変わっているのを実感しているみたいで、「楽しい」と言っています。
 
-カンボジアでの2シーズン目が始まりますが、どんなシーズンにしたいですか?

チームが新しい体制になって、できる部分、できない部分がいろいろ出てくると思いまが、去年が4位だったのでそれより少しでも上に行きたいと思います。優勝の可能性もないことはないので、優勝を目標に去年より上の順位が目標です。あとは、監督がやりたいサッカーをどれだけカンボジア人選手たちに伝えられるかというのも、僕たち日本人選手の役割だと思っています。
 
-今は、カンボジアリーグに来てよかったと感じていますか?

今年でそれがわかるのかなという感じはします。でも、今のところは人間的には成長できていると思いますし、海外に出たのはよかったと思います。正直、選手としてのスキルがどれくらい上がっているのかはわからない部分がありますが、カンボジアから他のリーグに行ける可能性もありますし間違ってはいないと思っています。

<了>

Text & Photo: 本多辰成




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