2015-08-16


<プロフィール>
内山 裕貴  / Uchiyama Yuki
Hougang United F.C. (シンガポール・Sリーグ)

コンサドーレ札幌のアカデミーに入団し、2014年にトップチーム昇格。現在はレンタル移籍先のシンガポール・Sリーグのホウガン・ユナイテッドでプレー。昨年はU-19日本代表に選出され、U-19アジア選手権出場。

昨年はU19日本代表の一員としてU19アジア選手権を戦った内山裕貴。コンサドーレ札幌の若きディフェンダーは今季、レンタル移籍したシンガポール・Sリーグのホウガン・ユナイテッドで経験を積んでいる。若い才能がアジアのリーグで鍛錬することにはどんな意義や可能性があるのか。内山のシンガポールでの挑戦に迫った。
 
-コンサドーレ札幌からシンガポールリーグへのレンタル移籍の話は、いつ頃あったのですか?

去年の年末あたりに話があって、すごく悩んでギリギリまで返事を待ってもらった感じでした。
 
-どういった点で悩み、そして最終的にシンガポールでのプレーを決断した理由は何でしたか?

今年がプロ2年目で、どこかにレンタル移籍して試合経験を積める場所に行ったほうがいいなというのは自分の中でも考えていました。最初はJ3のチームで探してもらったんですが、時間的にもギリギリだったので見つからず、シンガポールも選択肢になったという感じでした。海外で長く生活するのは初めてですし、海外へ行くといつも「やっぱり日本がいいな」と思ってしまうほうなので、そういう面でちょっと悩みました。でも、やっぱり試合経験を積むことに越したことはないと思ったので移籍を決めました。
 
-海外でプレーすることでの経験値というのも考えましたか?

それよりも、やっぱり今年一年、とにかく試合に絡むというところを一番に見ましたね。
 
-実際に来てみて、シンガポールにはどんな印象を持っていますか?

自分の中のアジアのイメージとは違っていて、住みやすいといえば住みやすいです。でも、食事の面では今はちょっと苦労しています。外食がほとんどなんですが、栄養のバランスを考えたら、自炊ももっとしなければいけないと思っています。試合が終わったあとに体重を戻せない感じで、体重も少し減ってきてしまっているので。当たり前のように出てきた食事がありがたいものだったと感じますし、日本と違う面がいろいろあるので順応していかなければいけません。
 
-チームには、すぐにとけ込めましたか?

日本人が僕を含めて5人いるチームなので、問題ありませんでした。英語での指示はまだ聞き取れないことも多いですが、言葉の面でも助けてもらっていますし、サッカーの面ではジェスチャーとかも多いのでだいたい自分なりに理解できています。
 
-シンガポールリーグのレベルについては、どう感じていますか?

全体のレベルとしては、J2よりはもちろん落ちると思いますし、J3よりも少し落ちるくらいかもしれません。でも、外国人選手は上手い選手も多いですし、そういう部分では差を感じません。日本でも通用するレベルの選手は普通にいると思いますし、自分はディフェンダーなので、そこの個の部分では確実に成長につながると感じています。
 
-シンガポール人選手については、やはりレベルが落ちますか?

シンガポールで長くやっている選手にも聞いたんですが、あまりサッカーの基本を教わっていないんだろうと感じます。基本的な守備の仕方でも、「こうしてほしい」と思っても、教わっていないから、いろいろと違いがあって苦労することがあります。そこは自分たちが合わせなければいけないのか、こっちに合わせるように持っていかなければいけないのか、難しいんです。外国人にいきなり「違う」と言われても、「は?」となると思うので、そこの差をどう埋めればいいのかというのは、今考えている部分です。
 
-そこは、今のところはどう対処していますか?

最初の頃はけっこう思ったことを言って、こっちに持ってこようとしていたんです。でも、最近はシンガポールのやり方もできるだけ理解しつつ、どちらか言えば合わせる感じでやっています。本当に違うなと思う時は、言いますけど。
 
-シンガポール人選手のやり方も、それはそれで理解できるところもある?

結局、サッカーはゴールを決めればいい、決められなければいい、ボールを取れればいい。その「結果」には結びついているところもけっこうあって、結果を優先してみると、「全然、こっちもアリだな」と思う部分もあるんです。
 
-日本でやってきたことが必ずしも唯一の正解ではない、と感じているのですね。

はい。たとえば、守備で言ったら日本の選手はきっちりとポジションに戻ってから行くという感じですけど、シンガポールの選手はしっかりと戻りきらずに行くことが多いんです。でも、それで結果的にボールを取れることもあります。もしかしたら、逆にしっかりとしたポジションにつかせていたら、取れていないのかもしれません。日本の選手は真面目というか、「こうだから、こう」と律儀ですよね。でも、シンガポールの選手は、言い方は悪いですけど不真面目でサボったりもするんですけど、それがいい方向に出る場合もある。もちろん、悪い方向に出ていることもあるので難しいんですが。そういうところは、すごく感じています。
 


-プロ2年目でシンガポールに来たわけですが、今の段階で「来てよかった」と感じていますか?

そうですね。日本の場合、ユースの時は試合経験を積めていたのが、プロになると試合経験が少なくなってしまうところがあるので。こっちはトップの試合に出られなくても、下のリーグに出ることができるのも大きいと思います。それも、体が強かったりスピードがあったり、特徴のある選手たちの中で試合経験を積めているのは意味があると感じていますから。
 
-昨年は、U19日本代表としてU19アジア選手権を戦って、準々決勝で敗退。U20ワールドカップ出場を逃す結果に終わりました。

あそこまで行って、「悔しい」しかないです。自分のミスで失点もして、申し訳ない気持ちもあります。
 
-他のアジアの強豪と、何か違いを感じましたか?
 
日本が一番上手いと思います。ただ、韓国や北朝鮮は体が大きかったですし、メンタルの面の違いをすごく感じました。戦う気持ちの表し方が違って、勝負強かったです。最後、北朝鮮にPK戦で負けましたが、北朝鮮の選手はみんな決める雰囲気が出ていました。日本の選手は「外したらどうしよう」とかマイナスのイメージを作ってしまったところもあったと思いますが、北朝鮮の選手は負の方に全然考えていないような感じがしました。
 
-今後、内山選手のように若い選手がアジアのリーグで経験を積むというのも意義があるかと思います。

試合に出るのが一番大事なことだと思うので、試合に出られる環境という意味では東南アジアも選択肢になると思います。試合に出ないことには、自分の課題すらわからないので。高いレベルのチームに行って、試合に出られなくてもレベルの高いものを見るというのもひとつの勉強にはなると思います。でも、次のステップとしては絶対に試合に出ることを考えたほうがいいと、今は思います。
 
-シンガポールでの残りのシーズンはどんなものにしたいですか?

今はとにかく、コンサドーレに帰った時にどれだけ出られるか、その中で自分が何をしなければいけないのかということを毎日考えてやっています。試合が終わったあとも、「ここはできたけど、コンサドーレではもっとこうしなきゃいけないんじゃないか」とか、常に考えるようにしています。戻った時に、自分がどれだけ周りとの差を縮められているかが大事なので。
 
-近年、札幌からはタイリーグへも若い選手がレンタルで移籍しています。札幌に戻ってきた彼らを見て、何か感じることはありましたか?

中原(彰吾)君とかも試合に絡んでいますし、やっぱり経験を積んで帰ってきたら試合に出られるんだなと。そういう面では、サッカーはどこでやってもそんなに大きな差があるわけではないんだと思います。自分も、帰ったら絶対に出られると信じてやっています。
 
-最後に、今後のサッカー人生の目標などがあれば教えてください。

3年目の来年が勝負なので、今はそこしか見ていません。そこで試合に出られたら、その先が見えてくると思うので、今はそこでどれだけできるかということだけを考えてやっています。
 


<了>

Text & Photo: 本多辰、Hougan United FC 




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