2015-11-01

<プロフィール>
本間 和生 / Honma Kazuo
LAO Toyota F.C.(ラオスプレミアリーグ)

大宮東高校を津業後、リエゾン草津(現ザスパクサツ群馬)などでプレーした後、2002年にセルビア1部リーグへ移籍。その後ハンガリーのクラブに移籍した後、2013年までハンガリーのクラブを渡り歩く。2014年、ラオスプレミアリーグのラオ・トヨタFCに加入。

日本人選手の海外でのプレーが今ほど当たり前ではなかった時代から、長く海外を舞台に戦い続けている本間和生。ハンガリーを中心に東ヨーロッパで12シーズンを戦い抜いたストライカーは、昨季移籍した東南アジアの新興リーグ・ラオスプレミアリーグで得点王に輝いた。その数字は17試合29ゴールという驚異的なもので、今季も同様のペースでゴールを量産中だ。ラオスリーグの「キング」となった35歳の日本人FWに話を聞いた。
 
-ラオスリーグに移籍した昨季は、17試合29ゴールという素晴らしい成績で得点王となりました。個人としては充実したシーズンだったのではないですか?

そうですね。チームとしては2位だったんですけど、個人として結果が出たという意味ではいいシーズンだったと思います。どんなレベルであれ、あれだけ点を取ったことはこれまでなかったですから。
 
-あれだけの活躍をすると、他クラブからのオファーなどもあったのではないですか?

契約を延長したあとに、話が来たものはありました。ただ、僕はラオトヨタFCに恩があると思っているので、もともと「延長の話があれば喜んで」という気持ちではいました。ラオトヨタFCに関しては、「1シーズンはこのメンバーで戦うんだ」というスタンスでいてくれるチームで、東南アジアではよくある契約期間中の契約解除のようなこともこれまではありません。選手を守ってくれるクラブだと感じています。もちろんそこにあぐらをかいてはいけないですし、だからこそ余計に結果を出していかなければいけないと思っています。
 
-「恩がある」というのは、どういった点に感じているのでしょうか。

去年、ラオトヨタFCに入るまで半年間チームがない状態だったので、「拾ってくれた」という思いがあります。チームが決まらない状況が続いていた中で、最後にこのチームに決まったので、やはり恩は感じますよね。
 
-たとえば、隣国であるタイのクラブへのステップアップなどは考えませんでしたか?

特に考えなかったです。僕の場合は、しっかりと毎日トレーニングをして結果を出し続けていれば自ずと道は開けてくるんじゃないかと思っているので、あまり先のことは考えていないんです。今回これだけ点を取ったからタイからオファーがあるかな、というような考えは全くしていません。10代や20代の前半であれば別の話にもなってくると思いますが、僕の場合は年齢も年齢なので選択肢が限られているというのもあります。サッカーをすることができていること自体が「ボーナス」だと思っているくらいなので。
 
-昨年の実績から、今シーズンはマークも厳しくなっているかと思います。

ラオスでは下の名前から「カズ」と呼ばれているんですが、今季は試合中に相手チームの選手たちが「カズ」という名前を言っているのは頻繁に聞くようになりました。多少マークも厳しくなっていると思いますし、意識して守っているなというのは感じます。
 
-そんな中でも、今シーズンもゴールを重ねていますね。

これまでもそうだったんですが、僕はコンディションがいいとか悪いとかいうのを感じたことがないんです。ハンガリー時代に怪我を騙しだましやっていた時に、一度だけ「やっぱり、ちょっとおかしいな」と感じてなかなかゴールができないということはありました。でも、それ以外では感じたことがないんです。逆に言えば、コンディションをしっかり作れたから活躍できたという感覚も全くないですし、いつもどおりに今までやってきたことをやっているだけです。もちろん、サッカーに打ち込む姿勢とか心構えは常に向上しつつも、基本的には同じような感じでやっています。


-日々のルーティーンを淡々とこなしていく中で、自然とゴールという結果が出ているということですね?

時代の流れとかもあると思いますし、サッカーも変わっていくものなので、それに合わせて選手も変わらなければいけない部分もあるとは思います。なので、新しく得た知識とか、そういったところでルーティーンを変えることはしています。たとえばストレッチングとか体のケアの仕方だとか、新しいものを聞けば取り入れてみたり。時間も限られているので、そういうアンテナを張りながら今までやってきて不要だと思ったものに関しては削除する、という作業はしています。
 
-ラオスリーグでは現状、観客の少ない試合などもあるかと思いますが、そういう中でもモチベーションに影響はありませんか?

僕の場合は、そういったところでの影響は全くないですね。観客が大勢いるところでやればプラスアルファのモチベーションにはなるかもしれませんが、ベースはそこではないので。サッカーをやる理由やサッカーに向かうことに対して、外からのものでモチベーションが上がったり下がったりすることは基本的にはありません。どんな環境でも、サッカーをするとなればグンとモチベーションを上げることができます。
 
-それは、昔からずっと変わらないものですか?

学生の頃は違ったと思いますけど、お金をもらってサッカーをするようになってからはそういう意識に変わりました。何百試合とやってきましたけど、今でも毎試合緊張しっぱなしです。毎週、緊張して生活ができるというのはありがたいことだと思っています。
 
-食事の面などもかなり気を使っていますか?

そうですね。でも、基本的には食事は美味しいものを食べるようにしています。ハンガリーやセルビアに対しては申し訳ない言い方ですけど、ヨーロッパに比べるとラオスは食事の面での「幸福度」はかなり高いんです。たとえばハンガリーの料理だと、シンプルな味のものや油っこいものが多いんですが、ラオスの食べ物は種類が圧倒的に多いですし、やっぱりアジアの料理はおいしいですね。もともと食べるのは好きなので、体も喜んでいるんじゃないかと思います。
 
-東南アジアの食事や生活環境の充実に関しては、ヨーロッパから移籍してきた選手からは特によく聞きます。やはり、そういった点も活躍の一因になっているでしょうか。

少なからず影響はあるんじゃないかとは思います。実際にどの程度影響があるかはわかりませんけど、人間の体は食べ物からできているわけですし、そういう意味では一つの要素にはなっているんじゃないかと。チームメイトの井原伸太郎と話していてもやっぱり、「ラオスの食べ物はおいしい」と言いますからね。精神的な部分で好影響はあると思います。
 
-ラオスリーグで2シーズン目となりますが、昨季からレベルなどの変化は感じますか?

感じますね、レベルは上がっていると思います。主観的なところなので確かかどうかはわかりませんが、僕はそう感じています。外国人選手の質も上がっていると思いますし、トライアルに来る選手の数も昨年と比べると圧倒的に多くなりました。ランサン・ユナイテッドというチームは新しいスタジアムを建てて、そこに選手の寮やアカデミーなども作っています。そういったことが簡単にできるような資金力のあるチームも出てきていますし、少しずつ変化しているリーグだと思います。
 
-今季が36歳になるシーズンですが、まだまだ現役での活躍が続きそうですね。
 
体も心もOKなんですが、必要としてくれるチームがなければ僕らは戦えないので、それ次第だなと思っています。プレーを続けるためには一試合、一試合が大事ですし、僕の場合は点を取り続けていかないと先はないと思うので、いつも崖っぷちに立っている思いです。
 

-必要とされる環境さえあれば、いつまででもプレーを続けたいという気持ちですか?

そういう気持ちはありますね。今の段階で、引き際を考えているというようなことはありません。怪我をしたり、若い選手についていけないと感じてしまったりしたらわからないですけど、これまでもずっとそうだったんですが、今のところは「今が一番いい」と思えているので。毎日トレーニングをして毎週試合をしていたら経験も蓄積されていきますし、そういう部分の成長は絶対にあると思います。来年ももっと上手くなっているはず、と今は思っいます。
 
-当面の目標などはありますか?

ないですね。とにかく一試合、一試合、目の前の試合に勝って結果を出し続けていければというだけです。もしかしたら目標を持ったほうがいいのかもしれないですけど、僕はそういうスタンスでずっとやってきているので。



<了>

Text & Photo: 本多辰成、Lao Toyota F.C.




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